対話を続けて見えた気づきハッタツソンでの出会い

Ledesone(レデソン)では、発達障害の当事者とそうでない方がチームを組み様々な仕組みやサービスを考えつくるプログラム「ハッタツソン」を毎年実施しています。「ハッタツソン過去参加者インタビュー企画」では、これまでにハッタツソンに参加して頂いた方になぜハッタツソンに参加したのか?や参加してみてどうだったのかなどを聞いていき紹介します。

今回は、2019年4月に開催された「ハッタツソン2019」に参加し、「CONDUCTOR」というアイデアを生み出して「フェルマータ合同会社」を立ち上げた寺戸 慎也さんに、ハッタツソンで出会った当事者の声から生まれたアイデアが、どのようにして発展していったのかについてお話を伺いました。

《プロフィール》
寺戸 慎也(てらど しんや)
フェルマータ合同会社 代表
ハッタツソン2019にて、職場のコミュニケーションとタスク管理を支援するサービス「CONDUCTOR」を発案し、クラウドファンティングでパトロン260名、約112万円の支援を集める。2021年4月にフェルマータ合同会社を設立し、コンダクターのリリースに向けて開発を進めながら、Webサイト制作や中小企業のDX支援を行っている。
公式サイト:https://fermate.gr.jp/
Twitter:https://twitter.com/terashin1226

気づきをくれるのは当事者

まず、寺戸さんについてと現在行っていることについて教えてください。

まず、僕の現在の取り組みとしては、今年の4月に任意団体であった「フェルマータ」を法人化して、合同会社として活動しています。
融資を受け、Webページやシステム開発を請け負いながら「CONDUCTOR」の開発を続けています。

「フェルマータ」の活動以外にも何かされていることはありますか?

若者の就労支援の相談員として働いています。
その中には発達障害の方もいらっしゃいますね。

それと、豊中市で子どもの居場所のネットワーク事業に携わっています。
これらが今行っている仕事ですね。

若者の就労支援」では発達障害を持つ人も支援しているということでしたが、発達障害を持つ人と出会ったのはその仕事が初めてですか?

そうですね、多分。
振り返ったらその前にも絶対会っているはずなんですけれども、意識的に関わったのは三年前にこの仕事を始めてからです。
そこで、発達障害というものをより詳しく知るようになりました。

発達障害を持つ人と初めて会った時はどのように感じましたか?

なんというか、「普通にいるよなぁ」という感じでしたね。改めて、「これが発達障害か」というのはなくて、「こういう人はいっぱいいるよなぁ」と思いました。

ただWAISなどの心理検査の結果を見るとそのしんどさがより理解できるようになったと思います。

過去を振り返ると、昔の部下というか、後輩とかも「発達障害を持っていたのかもな」と思うんですけれども、それでも特別に何か配慮したりすることはなかったですね。

改めて知識を得た上でみたら、しんどさがわかったという感じですね。

最初にハッタツソンのことを聞いた時ってどういう感じのイメージだったんですか?

僕はもともと高齢者介護をやっていたので、当事者の方を中心に社会について考えるみたいなのはすごいいいなぁ、面白そうだなぁと思っていました。

ハッタツソン2019のイベントバナー
ハッタツソン2019

寺戸さんは以前システムエンジニアのお仕事をされていたそうですが、システムエンジニアの仕事から対人支援の仕事に変えたきっかけはなんですか?

単純にシステムエンジニアが合わなかったんですよね。
新卒の時は5年システムエンジニアとして働いて、体を壊して4年間介護の仕事をしていました。
その後、もう一度システムエンジニアの仕事をしましたがやはり体調を崩してしまって。
振り返ってみたら、対人要素がないとやっぱり続けていけないのかなって思いました。
そして、今の法人にたまたま巡り合って、最初は生活困窮者支援の仕事に就きました。
その後、若者支援の方に行きましたが、それがハマったんですよね。すごく面白い仕事だなと。

ありがとうございます、話を戻して、実際にハッタツソンに参加してみてどうでしたか?

フェルマータはメンバーがかなり個性的でした。
割とこう、言葉のコミュニケーションが苦手だったりなど、当事者の人以外にも個性が強かったりしましたね。
当事者の方もそれに輪をかけたような個性の強さでした(笑)
でもそこで、誰も意見を聞かないとか、そういうのはないチームでしたね。
しっかり当事者含めて対話を続けて、それでアイデアに気づけたっていう。
その分作業する時間は少なくて大変だったんですけどね。

写真の説明はありません。
ハッタツソン2019でフェルマータチームで話している様子

「ハッタツソン」は発達障害のある人とそうでない人が一緒になって三日間行っていくプログラムですが、それを体験してみてどうでしたか?

気づきをくれるのは当事者の方でした。例えば当事者の方が「気持ちを言えると楽になれる」というようなことをおっしゃっていたんですよね。

「1日働くのがしんどい」と。

「でも気持ちを言えたら楽になれた」とおっしゃっていたので、「じゃあ上司にフィードバックできる機能を入れようか」と、そんな感じでアイデアになりました。

そういった方が参加してくれるのは、価値があるというか、たくさん気づきを得られるんじゃないかと思います。

幅広く来れる場所をまずは作っていかなればいけない

そんなハッタツソンで「フェルマータ」というチーム名で「CONDUCTOR」というアイデアが生まれ、現在も開発されているところだと思うんですが、どのような課題が出てきて、「CONDUCTOR」というアイデアに行き着いたんですか?

多分僕の原体験が大きいですね。支援の仕事をしていて、当事者の方も自分が発達障害だということをみんなわかっているわけじゃないんですよ。

高校まではなんとかなっていたけど、大学か、就労っていうところで、社会に適応するのが難しい特性が出てしまうとか。

そういうのを見ていて、「働き方が変われば働けるんじゃないかな」というのが最初の発端でしたね。

ただ、当事者の方をいくら支援しても企業側が変わらないとそれはあまり効率が良くないかなと思いました。

そこで生まれたアイデアが、「受け入れ側の支援をするツールを作ること」だったんです。

ハッタツソン2019審査員とフェルマータチーム

そんなCONDUCTORですが、今はどのように開発を続けているんですか?

ハッタツソンが終了してから、ミーティングとかもやりつつ、ゆっくり進めています。

クラウドファンディングをしたのですが、準備がとても大変でした。

でもなんとか準備を終えて、12月にクラウドファンディングをリリースしました。

約2ヶ月弱のプロジェクトで、100万円目標だったのですが、112万円程集まり、達成しましたね。

当日ぐらいにはなんとなく達成するだろうと思っていたので、気持ちとしては、「やったー」というよりかは、「やらなきゃいけないんだ」というプレッシャーが重くのしかかってきていましたね。

多分クラウドファンディングが成功していなかったらここまでやってないと思うので、それは大きいと思いますね。

当事者の方を含め、働くことにすごく課題があるんだなぁと思いました。

クラウドファンディングページのスクリーンショット

「CONDUCTOR」のシステムはどのようにして使うんですか?

今あるものは、タスクの作成機能です。
特徴はタイムラインですね。視覚的に今日1日のタスクがわかります。

発達障害の人は時間的展望を描くのが苦手、つまりタスクを作ったとしても時間の見積もりがしづらい、見通しが立たないんです。
そこを視覚的に支援するために、このタイムライン機能を使います。

正直、タスク管理のアプリっていっぱいあるじゃないですか。
それに、メモでもいいっていう人もいっぱいいると思うんです。

だからこそ、アプリで全て完結するよりかは、タスク管理の考え方も一緒に伝えていきたいと思います。

新卒の人や働くことに慣れていない人にも「CONDUCTOR」を使いながらタスク管理の基本的なところを学習してもらうという、そういうところを狙ったサービスです。

今は個人で使用する状態になっているのですが、ゆくゆくは上司とか、指示を出す立場の人側からタスクを作ってもらったりすることも考えています。

そうすることで、タスクを作るのが難しい方でも、作ってもらったタスクをこなしていくようにすれば働ける環境は増えると思うんですよね。

タイムラインのアイデアが出たのはどういうのがきっかけでしたか?

このアイデアが出たのは、発達障害のお子さんの支援とかで、「視覚化支援」というものがあって。

絵を使ったり、やることを絵カードで貼り出しておいて、終わったら別の場所に移すとか。

そういうので、アイデアが出てきました。

例えば、終わったタスクを視覚化するとかもできます。

「トークンエコノミー」って言って、シール何個ぐらいタスクをこなしたというような形で、仮の通貨であるシールをゲットします。

それをお菓子などと交換することでモチベーションの維持につながります。

モチベーションの維持というのは、発達障害の人には難しい場合が多いので、そういう支援の取り組みは生活支援にも使えるかなと思いますね。

ところで、「CONDUCTOR」というのは、発達障害の人だけしか使えないのですか?

いい質問ですね。このアイデアをクラウドファンディングで発表して言われたのは「当事者以外にも使えるのではないか」という意見でした。

当事者の方のアイデアで生まれましたが、その課題というのはおそらく誰しもが持っているものなので、誰もが使える状態にはなっていると思います。

「誰でも」という中には、発達障害という区切りを外した上で、どのような人が使うと思いますか?

気が散っちゃうとか、見通しが立たないと不安とか、時間通りに仕事がこなせない、出かけるギリギリまで何かやってしまうとか。

そういう方には結構使えると思います。

寺戸さん自身が「CONDUCTOR」を使ってみての感想はありますか?

自分でタスクを作ることで作業が進みやすいという実感がありますね。

特に共同で仕事をするときは効果があります。

今は複数アカウントの機能がないので、同一アカウントを2人でログインして使っていますが、「これが終わった」「これが終わってない」「今日はこれをやるんだよね」みたいなことがとてもわかりやすくなりました。

1日の始めに共通認識ができて、終わったら消していくというのがとても使いやすいです。

CONDUCTORを触る寺戸さん

ハッタツソンを一言で表すとなんでしょうか?

まだ世の中にないアイデアが生まれる場所、生まれる可能性がすごい高い場所だと思います。

そのアイデアをいかに消さずに継続させて世の中に出していけるかっていうサポートもあれば、めちゃくちゃ面白いイベントでこれからも発展していくと思います。

今後のハッタツソンに期待することはなんですか?

アイデアの生まれた後の、ネットワーキングのサポートを提供して欲しいなと思います。

ハッタツソンで生まれたネットワークなどで、「こういう人に聞いてみたら」みたいな人を紹介してもらえたらと思いますね。

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この記事を書いた人
インタビュー:Ten
写真撮影:マスヤ
記事作成:池田 美咲