ハッタツソントーク「働く環境」イベントレポート

ハッタツソントーク「働く環境」イベントレポート

ハッタツソン2021のプレイベントとして、発達障害の当事者によるトークイベント「ハッタツソントーク」を全3回開催しています。

11月13日に開催された第2回目は、「働く環境」をテーマに現役のデザイナーで特例子会社で就労環境の改善経験がある おこさんに登壇していただきました。

今回のイベントレポートではおこさんの講演内容やイベント後半に行ったワークショップの様子をグラレコ(絵で記録すること)と共にダイジェストでご紹介します。

ハッタツソ2021年プレイベント
ハッタツソントーク - 働く環境のグラレコ画像

《出演者プロフィール》

おこ
だいたいデザイナーをやったりしている人。障害者雇用をやりながら障害者雇用の支援のお仕事をしたりなどもしたことがあります。かと思えば発達障害の啓発活動もしてみたりする。現在は何故かプログラマの養成訓練で修行しています。
Twitter:@sakaadhd

おこさんがオンラインで登壇している様子のスクリーンショット
以下スクリーンショット内に含まれるスライドの文章
大前提として、人類皆完璧ではない。
金子みすゞの詩「みんなちがって、みんないい」より
「みんなちがって、みんないい。」
→裏を返せばみんなそれぞれよくないところもある。
しかし、それを悪いことできない。
おこさん登壇の様子

「大前提として、人類みんな完璧ではない」と、おこさんは話します。

「みんな違ってみんないいけど、裏を返せば みんな悪いところもある」という前置きから、おこさんのお話は始まりました。

そもそも「働きづらさ」とはなんなのか、そこにはたくさんの理由があります。

おこさんは実際の事例と解決策をもとに、話を進めていきます。

例えば、「趣味などの息抜きと仕事のバランスが取れないこと」で働きづらさを抱える人には、

「休憩時間はちゃんと休むように指示する」

「何時間も延々と作業をさせず、タイマーなどで息抜きを設定する時間を設定する」

といったように、本人の努力だけでなく、職場全体での対策を提案しています。

特に「スキル・体力と労働量のバランスが合わないこと」に関する解説では、「ピーターの法則」という社会学の法則の話がありました。

これは「ある仕事で成果をあげた人物が、その仕事を評価されて昇進しても、その地位において有能であるとは限らないため、やがて無能な上司になる」というもので、参加者の方からも共感する人が多かったようです。

仕事をする上での、発達障害やグレーゾーンの方の困難さを事例としてまとめたグラレコの画像

そのため、おこさんは

「適材適所に注目し、何が得意で何が苦手だと感じたか、面談でよく話し合う」

「チャレンジしてダメなら元に戻せる柔軟な配置転換をする」

といった解決策を挙げていました。

また、おこさんのお話では時折「確認した方がいい情報」の話が出てきました。

「労働基準法」や「障害者雇用促進法」などの法律や、「企業の就業規則」といった情報は目を通しておくべきだとおこさんは話します。

例えば企業の就業規則の確認では「勤怠等の就業規則」や「休職についての規定」など、見るべきポイントも含めて具体的な説明がありました。

参加者の反応

参加者の方は、

「自分も短期記憶ができないので、メモができない環境で仕事を急に頼まれてしまうと、その仕事を覚えていられなくて困ってしまう」

「残業とか長時間労働を周りがしていると、自分だけが抜けることはできず、周りに合わせてしまうので辛い」

といった障害にかかわらず日頃から感じている「働きづらさ」についての反応がたくさんありました。

参加者からの事前質問の回答

ここで、参加者の方からの質問とおこさんからの回答をご紹介します。

Q 健常者にどう接して欲しいのか

昨今は健常者障害者関係なく、余裕というか、寛容さが不足していると思います。
完璧を目指すのではなく、日々無理なく前に進んでいく精神をまずは健常者の方が自分に対して持ってくれたらなあと思います。

Q自身の障害を受容、もしくは把握できたきっかけは何か。また、自身の特性を把握していく中で、必要となる配慮や工夫は変化したか否かを聞きたいです。

きっかけは仕事で、受容については人生の至る場面で、一生かけてじっくりやるものかなと思います。

Q特例子会社にてデザイン・制作の仕事をしています。登壇者のおこさんが今後どのようなキャリアをイメージされているのか、ぜひお伺いさせていただきたいです。

今後は障害者雇用か半オープンかで、制作を中心としたお仕事をしていきたいです。必要であればフリーになるかも。

Q仕事関係者からの配慮や工夫などで一番嬉しかったこと、有り難かったことは何でしたか?

しんどくなったら少し寝ていい、は本当にありがたかったですね…10分休むだけでも違うんで。

Qいわゆる専門職の凸凹にどう企業は向き合うか。

健常者障害者関係なく、安心して前に進めるよう工夫していただけたらと思います。

ワークショップの様子

また、その後に行われたワークショップでは

「ひとりひとりが過ごしやすい『働く環境』を作るにはどんな仕組みやサービス(ツールやアプリなど)があるといいか」

というテーマで、参加者がチームに分かれてそれぞれ話していました。

ワークショップ参加者がチームに分かれオンラインで対話している様子のスクリーンショット
ワークショップの様子

参加者の方からは

「Googleカレンダーで勤怠管理をしてお給料の計算などができるようになってほしい」

「マルチタスクが苦手で、メモを取りながら話を聞けないので、AIが自動的に会議の要点をまとめてくれるソフトが欲しい」

という声がありました。

ワークショップの様子を振り返り、まとめたグラレコの画像

また、ワークショップの最中では、ある参加者さんの「こんなアプリが欲しい」という要望に、「こんなのがあるよ」と他の参加者さんがアプリを紹介するといった場面も印象的でした。

最後に

「働く環境」での悩みは、障害のあるなしにかかわらず誰しもが抱える悩みです。

「みんな違ってみんな悪いところもある」からこそ、職場の環境整備の大切さがわかるイベントでした。

ハッタツソントークについて

ハッタツソン2021のプレイベントとして発達障害のある当事者講師によるトークイベント「ハッタツソントーク」と題して、発達障害に限らずに「日常生活」「学校/教育」「働く環境」の場で感じる様々な見えづらい課題を当事者の視点と経験から紐解いていきその解決策や逆に活かしていく方法を考えていくトークイベントとワークショップを交えたイベントを全3回開催しました。