これまでの経験をこれからにつなげるハッタツソン

Ledesone(レデソン)では、発達障害の当事者とそうでない方がチームを組み様々な仕組みやサービスを考えつくるプログラム「ハッタツソン」を毎年実施しています。「ハッタツソン過去参加者インタビュー企画」では、これまでにハッタツソンに参加して頂いた方になぜハッタツソンに参加したのか?や参加してみてどうだったのかなどを聞いていき紹介します。

今回は、2019年4月に開催された「ハッタツソン2019」に参加し、現在も「DISCOVERY」として活動されている岩崎 義弘さんにご自身の発達障害のことやDISCOVERY」としての取り組みに関してお話を伺いました。

DISCOVERYのホームページのスクリーンショット

《プロフィール》
岩崎 義弘(いわさき よしひろ)
ウェブデザイン・ディレクションを中心とした事業を行う株式会社PPnR 代表取締役。
ハッタツソン2019では、日々の行動のログを取ることでパニック発作や鬱などの二次障害の兆候を掴むためのアプリ「DISCOVERY」を提案。現在は先のイベントで出会ったメンバーと共に「DISCOVERY」というチームを結成し、放課後デイサービスの送迎管理用ウェブアプリや、子どもたちの毎日の生活をチェックし、先生方が二次障害の兆候や対策を考えるウェブアプリを企画・開発中。
公式サイト:https://www.discovery-p.com/

今の仕事をやっていること自体が、子供の頃からの積み重ね

まず、岩崎さんについて教えてください。

僕は1997年に創造社デザイン専門学校を卒業しました。

その後、1年ほどディスプレイデザインや空間デザインの仕事をしていました。

当時はインターネットがあまり普及しておらず、企画書に掲載するCGパースや展示会のブースで流す映像制作やCD-ROMコンテンツの制作などをしていました。

しかし、あまりの忙しさに体を壊してしまい、退職しました。

その後、友人に京都の建築家の先生を紹介してもらい、その先生の仕事を手伝うようになりました。

その先生が、ホームページをリニューアルしたいとのことで、初めて個人で仕事を請け負うようになりました。

その頃は、いわゆるITバブルで、僕たちのような若手のクリエイターは重宝され、当時最先端だったCG制作、ホームページ制作、グラフィック制作などができたことで、仕事はたくさんもらえました。

そして、そこから本格的にホームページの制作へ足を踏み入れることになったのです。

取材中の岩崎さん

岩崎さん自身が持つ障害について教えてもらってもいいですか?

僕は二つの障害を持っています。

一つは内部障害である腎不全で、人工透析をしています。

2015年に腎不全でステージ5だとわかりました。

腎不全で人工透析をしていると言うと、よく「糖尿病ですか?」と聞かれますが、IgA腎症という免疫の病気なんですよね。

そしてもう一つ、発達障害があります。

なので学校を卒業して24年くらいになりますが、一般企業で働いた経験はないんですよね。派遣でディレクターとして2社で1年ほど働いたくらいです。

岩崎さんの発達障害の特性としては、どのようなものが強く現れますか?

自閉的で協調性がないところですね。

ASD,LD、ADHDとあって、僕はASDの特性が一番強いです。

ADHDも多動はないけれど、よく物を無くすことが多かったですね。

携帯とかをポンと置いて、どこに置いたかすぐにわからなくなっちゃったり。

LDのほうは、文字を読めないとかではなく、社会科が全くできなかったです。

地理が覚えられず、地域の産業や工業、商業がわからない。

そこに歴史が入ってくると、いつどこで誰が何をしたのかがさっぱりわからないんです。

人の名前や顔も覚えられないので、そうなってくると社会全般がダメですね。

発達障害の特性があって良かったなと思う場面はありますか?

今の仕事をやっていること自体が、子供の頃からの積み重ねですね。

僕は自閉気味で友達が本当にいなかったんです。幼少の頃は近所の2人か3人くらいとしか遊びませんでした。

その子達がいなかったらずっと家の中でレコードを聴いたり、絵本を読んだり、ブロックで遊んだりしていました。

ちょうど僕の時代はファミコンが小学校3年生か4年生の時に出て、そのファミコンの「ファミリーベーシック」というソフトとキーボードを使うことで、マリオなどの任天堂のキャラクターを自由に動かしていました

パソコンを使えばCGを使ったり、音楽を演奏したり、プログラムを使えば自分の苦手なことでもできるんだなと思いましたね。

発達障害の人は、好きなことにガッと入り込めるじゃないですか。

僕もその傾向が強いので、小さい頃は本と音楽ばっかり、小学生の頃はそれに加えてプラモやラジコン、ゲーム、パソコン、中学高校になると、シンセサイザーやTM  Networkにハマっていきました。

20歳のころにMacが自宅にやってきた時、HyperCardを使ってゲームっぽいものを作ったり、本格的にDTMに取り組んだり。結果としてバイト先の部長さんの勧めもあり専門学校に行くことになりました。

そのあたりでは何かにどハマりするとガーッと集中しちゃう今までの経験が活かせていると思いますね。

お互い好きなことを言い合えて、作っていけるという環境がすごく良かった

実際に「ハッタツソン2019」に参加してみてどうでしたか

いろんなすごいエンジニアやクリエイターなどの方とかがいてるなぁと思いましたね。

なんらかしら個人で社会貢献につながる活動をしたいと思っている方が、こんなにもいるんだなぁと思いましたね。

しかもメンバーの中には、自分よりも重度の発達障害を持っておられて、外に出られなかったりする方もいました。

そういう方たちも何か社会に接点を持ちたいという気持ちがあるんだと思いましたね。

写真の説明はありません。
ハッタツソン2019の様子

ハッタツソンは障害のある方とそうでない方が、一緒にチームを組んで三日間作業しますが、それを体験してみてどうでしたか?

リモートで参加する人もいましたが、特に発達障害だからといって何かということはなかったですね。

お互い好きなことを言い合えて、作っていけるという環境がすごく良かったです。

僕も発達障害ではあるけど、症状の出方や感じ方は違うので、僕がなんとも思っていないところでも、人によっては引っかかることもあったのでなるほどと思いましたね。

そんなハッタツソンで「DISCOVERY」を組んで活動しましたが、当日出たアイデアについてどのような話や課題があったのか知りたいです

DISCOVERYでは、「自分の心の状態をコントロールできるようにする」という目的のアプリを作ろうと思いました。

アプリに、毎日のログと、その日どこにいたのかという位置情報と、その時の気分をアイコンで記録して、統計を取ります。

そうすることで、自分の気分が上がる場所と下がる場所を見つけ、下がる場所では事前にどのような対策をしていくか考えることができます。

例えば、駅に行って気分が下がる場合、人混みが苦手ならノイズキャンセリングイヤホンをつけて雑音をカットするなど、事前に対応策を考えることができます。

現在のDISCOVERYでは、いろんなものを教育機関や放課後等デイサービスと、一緒になって作っていく取り組みと行っていると思うのですが、なぜハッタツソン終了後も活動を続けようと思ったんですか?

せっかく知り合ったんだし、そのまま終わるのはもったいないと思ったからですね。

同じくハッタツソン2019参加者のフェルマータの寺戸さんから連絡が来て、そこから、とある高校の取り組みに繋がったり、初日の講師と審査員を務めていた久田さんが代表のサンフェイスさんに連絡して、実際に現場見学をさせてもらったりしました。

自分自身がこれまでやってきたノウハウも活かせるようにしていきたい

高校での取り組みはどういうものだったのですか?

毎日チェックというサービスを開発し実際に生徒と先生に利用していただきました。

パソコンが一人一台用意されていて、そのパソコンを使ってログインし、アンケートに答えます。

毎日の食事や睡眠状況だけでなく、その日の出来事や、誰と喋ったか、感想、気分などを記入して、送信します。

最終的には、結果をグラフ化して、先生が見れるようにします。

「毎日チェック」の管理者画面 生徒が入力した結果がグラフ化されている

例えば、ずっと気分が落ちている子には、睡眠時間や食事が適切かどうかなど、生活態度を調べてフォローします。

双子の兄弟がいて、同じ生活をしているのに、片方はずっとテンションが高く、もう片方はずっとテンションが低かったということもありましたね。

先生も気づかなかったことが多く、これまでわからなかったことが掘り出せたかなと思います。

「毎日チェック」を使用した高校からの感想はいかがでしたか?

学校内の子供たちの様子と、学校外の子供たちの様子の違いがよくわかったそうです。

例えば、普段は喋らない生徒が学校以外のバイト先の人と喋っていたり、昔の小学校や中学校の友達とよく遊んでいたりするといったことですね。

「毎日チェック」の回答者画面 生活状況について細かく振り返られる

サンフェイスが運営している放課後等デイサービスとも一緒にシステムを作っておられますが、それについて教えていただけますか?

こちらからサンフェイスさんにお伺いして話を聞かせてもらった際に、放課後等デイサービスの一番の手間は送迎管理だという話が出ました。

車に乗せる人数や、子供たちの相性、送迎の順番などを考えるのが大変なんだそうです。

それに加えて、毎日のように時間変更や休みの連絡が来て、対応が追いつかないということでした。

どういうサービスを作って取り組むかと考えた時に、送迎管理は複雑なシステム管理だということを知りました。

まず、予約するときに、子供がそのシステムに登録されていないといけない、例えば、学校、自宅、かかりつけ医の場所などですね。

そして、親御さんが何月何日何時にどこへ迎えに来てください、という情報や、帰りは親御さんの迎えなのか、サンフェイスが送迎するのか、という情報を入力します。

コロナが流行してからは、体温も測るようになったので、その体温の情報も入力できるようにしました。

ー放課後等デイサービスだけではなくて、送迎管理を行う他のサービスにも使えそうですね

今は放課後デイサービスに使用してもらっていますが、高齢者向けのデイサービスにも使用できると思っています

DISCOVERYとして、今後やっていきたいことを教えてください

今後はもうちょっといろんな事業所と連携しながら、システムサービスの導入だけではなく、例えばITツールの導入のサポートや、ホームページの制作のお手伝いなども考えています。

自分自身がこれまでやってきたノウハウも活かせるようにしていきたいと思っています。

岩崎さんにとって、ハッタツソンを一言で表すと何ですか?

うーん…なんでしょうね、「パーティー」というか

いろんな人がいて、いろんな生き方をしていて、いろんな仕事をしていて。

それがうまい具合にバランスを取れていて、とても変わった場所だと思います。

普通の異業種交流会では、形式的な挨拶だけで終わってしまいますが、ここでは実際にグループごとに集まって、何かを制作したり、何か繋がっていたりしています。

普通の会社勤めの方や、発達障害で少し家に引きこもりがちな方など、一歩足を踏み出してみたい方にはいいのではないかなと思います。

最後に、今後ハッタツソンに参加しようとしてくれている方に一言お願いします

ハッタツソンは、さっき言ったように、なんとなく社会貢献をしたい、なんとなく興味を持って取り組んでみたい、という人には、最初の一歩を踏み出すのにおすすめな環境です。

すごく意識が高い人の集まりではなく、かといって無責任な人ばかりでもないので、いろんな人がいて、いろんな関わり方をして…というすごくいい場所だと思います。

ぜひ参加をしてみてください。

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この記事を書いた人
インタビュー:Ten
写真撮影:マスヤ
記事作成:池田 美咲